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このブログについて(日本、千葉。)

 皆様こんにちは。  「ECフィルム活用プロジェクト@千葉」を訪れて頂き、ありがとうございます。   本プロジェクトは、エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ=ECフィルムに収録されている映像資料の研究方法の模索を目的としています。地域はオセアニアに限定して行います。このブログは、研究の過程をEC活用プロジェクトや他の関心ある方とも共有しながら進めるために開設致しました。実際に収録されていた映像の一部を紹介しながら、研究者の視点から見て、思ったことや感じたことを書いていきたいと考えています。  このブログ投稿から、少しでもECフィルムの魅力を伝えることができればと、考えております。また、ECフィルムの活動についてより詳しく知りたい方は、 映像の百科事典 エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ を、是非ご覧ください。  *このプロジェクトはECフィルムの研究活用の道を開くための実験的なプロジェクトであるとして、公益財団法人下中記念財団、EC活用プロジェクトの了解と協力を得て行われています。(映像の百科事典 エンサイクロペディア・シネマトグラフィカhttp://ecfilm.net/) [エンサイクロペディア・シネマトグラフィカとは]  ECフィルム=「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」は、世界中の知の記録の集積をめざした映像による百科事典です。1952年、ドイツ・国立科学映画研究所で、科学映像をめぐる一大計画が始まり、以後30年近くを費やして数多くの研究者・カメラマンが世界各地に赴き、現在は失われた暮らしの技法や儀礼などの貴重な記録を含む、3000タイトル強の映像アーカイブを制作しました。  演出や解説、BGMを徹底的に避け、比較を可能にする体系的な映像を目指して作られたECフィルムは、20世紀の民族誌映像のひとつの型を作ったとも言われています。 制作されたECフィルムは各国機関に渡り、日本でも1970年より下中記念財団によって、アジアで唯一のフルセットの映像が管理・運用されています。現在もECフィルムの日本国内での上映、教育的な利用については、(公財)下中記念財団が権利を持っています。(エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ「ECとは?」より引用)

網づくり(ギルバート諸島、ノヌーティ環礁。)

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 こんにちは。ECフィルムについてブログを書かせてもらっている石内と申します。今回は、網特集。今までは、編み物といっても、服やむしろのような、隙間を小さくするものについて紹介しましたが、逆に網は隙間を作ることが、重要になってきます。では早速、ノヌーティ環礁 で撮影された、道具作りの映像について見ていきましょう。 (画像1)E0829 04:05  画像1は、E0829「 すくい網づくり」で、男性が網を編んでいる様子です。むしろなどを編んでいたのは、ほとんどが女性だったので少し意外。あらかじめまとめておいた紐ごと、輪に通し網のネット部分を作っていきます。編みの隙間は、ちょうどよい大きさに削っておいた木片を頼りに、紐を巻き付けることで、均等な大きさにしているようです。 (画像2)E0830 04:47  ネットを編み終えると、近くの草むらから細い枝を取ってきて、葉などを切り落としたのち、端の輪っかに通し網の枠にします。枝を通した後、枠とネットを 何か所か 、紐で括って固定します。木の枝は、丈夫ながらよくしなるので、こういった曲がった形を作る際にとても重宝します。今後の映像にもたくさん登場するので、是非覚えておくと楽しめるかも。 (画像3)E0829 10:58   木の枝で枠を作った後、棒に凹凸を作り枠にはめ込むことで、すくい網の柄とします。映像の最後には、水辺で使っている場面が映っており、実際に私たちが魚屋で見るものと、かなり近いです。網を編むという作業は、今まであまりしたことがなかったので、見慣れない場面の連続でしたが、実際出来上がったものを見ると、非常に親しみのある形になりました。スポーツか何かのラケットみたい。 (画像4)E0830 07:53  今度はE0830「 砂篩編み」。作成していたものは、ネットを使ったふるいになります。この砂ふるいは、取っ手まで糸で作ってあり、出来上がりはかなりやわらかい印象です。 前回まで紹介した映像では、ココヤシの葉などを材料にした編み物が多かったですが、今回使っているのは紐。葉と違い、やわらかく、たるんでしまうので、編

びくづくり(ギルバート諸島。フランス領ポリネシア。)

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  こんにちは。早速、オセアニアのECフィルムを見ていきましょう。前回は、二種類の船について書かせてもらいましたが、海繋がりの映像ということで、びくづくりの様子をご紹介できればと思います。びくとは、取った魚を入れるための袋のようなもので、使う材料や形などはものによってさまざま。魚を捕るために使うものであるため、おなじみギルバート諸島や、フランス領ポリネシアの島々が舞台となります。 (画像1)E0818 04:45  ギルバート諸島では、ココヤシの葉を使ってびくが作られます。編み方は 「ココヤシの葉で作ろう!」 でも紹介した床むしろ編みとほぼ同様で、二枚の葉の向きが違うように重ね、互いの小葉を縫うようにして編みます。違うのは、今回作るびくが立体的な籠のような形をしているという点で、小葉の根本についている軸のような部分、葉柄を円形になるように曲げ、小葉が飛び出ている両端をつなげるように編んでいきます。 (画像2)E0817 08:10  画像2は、編む作業を終え、びくの口部分を刃物できれいに整えているシーンです。少し見づらいかもしれませんが、何層にも重ねっているように見える円形が、先ほど述べた、ココヤシの葉の葉柄部分になります。底は、小葉を閉じるように編まれているので、所謂マチ部分はほとんどなく、余った小葉は三つ編みにして縛られています。これに肩から下げるための紐をつけると、びく”クルマエネ”の完成です。ちなみに、画像1で作っていたびくは” バニエ・ニ・キベ”という名前です。 (画像3)E2356 00:59   次に紹介するのは、E2356「びくづくり」です。舞台はフランス領ポリネシアに属するフアヒネ島。あまり聞きなれない場所だと思いますが、同じ括りとして有名なのはタヒチ島でしょうか。画像3は、男性がマチェテとハンマーを使い、竹に切れ目を入れている様子。女性が竹の端を押さえていますが、確かに普通にやったら竹が割れてしまいそうです。ものづくりの映像は、どれもすごい器用。 (画像4)E2356 05:14  先ほど切れ目を入れた竹を押し広げ、中に、同じ竹で作った輪っかをはめ込みます

オセアニアで作られた舟(セピク川中流域。ノヌーティ環礁。)

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  前回は、ギルバート諸島の海を舞台に、ココヤシの葉を使ったものづくりについてまとめてみました。映像にも映っていましたが、水辺での生活において船というのは、非常に大きな要素であると言えるでしょう。そんなわけで今回は、 海に出るためのものづくり でも紹介したアウトリガーカヌーに似たいかだと、セピク川で使われているカヌーづくりの映像に関して、まとめていきたいと思います。まずは、E1372「 丸木舟づくり」を見ていきましょう。 (画像1)E1372 05:39  セピク川中流域に住む、アイボム族(Aibom)が使うカヌーは、大きな一本の丸太だけで作られます。画像1にも写っている手斧を使い、二人がかりで内側をくり抜いていきます。丸太に斧を振るうと、瓦のように層が剥がれるので、それでざっくりと船の原型が出来上がります。それから、鍬や鉋のような工具で内側や縁を仕上げていきます。想像がつくかもしれませんが、非常に時間と労力がかかる作業であり、映像自体も30分の長編です。 (画像2)E1372 23:37  画像2は、成形が終わったカヌーを焼いている場面です。ちょっと分かりづらいかもしれませんが、カヌーの内側に火が付いたココヤシの葉が入っており、燃え盛っています。実際に私が見ていた時は、大分私が知っているカヌーの形に近づいてきたな、と思っていたところに、急に火をつけ始めたので、非常にびっくりしました。この後、水を吸わせたモップのようなもので火を消しながら、全体が真っ黒になるまで加工し、塗装することで完成します。 (画像3)E0832 06:34   次は、E0832「筏舟づくり」です。先ほどのカヌーのように、上部が広がっていますが、中には大量のココヤシの実が詰まっています。ちなみに、実が沢山入っているのは、ココヤシの葉で編んだ袋のようなものです。丸木舟と比べ、これがほんとに船になるの?と思われるかもしれませんが、後に海上に出た船の上で人が立っている場面が映されています。 (画像4)E0832 08:43  たくさんの実を入れた後、木の枝で骨組みを組み、アウトリガーカヌーのように、片側に浮きを取り付けます。船というと、

海に出るためのものづくり(ギルバート諸島、ノヌーティ環礁、オノトア環礁。)

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  こんにちは。予告通り、ギルバート諸島でのものづくりに関する映像を紹介していきたいと思います。前回の記事にも写っていましたが、太平洋に浮かぶ島々ということもあって、ギルバート諸島で撮影された映像には、海に関するものも非常に多いです。今回は特に、今まで見てきたものづくりの様式が、海上でも使われている様子をご紹介できればと考えています。 (画像1)E0823 01:45  まずは、ノヌーティ環礁で撮影されたE823「漁労用の帽子編み」です。編まれている植物は、今サイトではおなじみココヤシの葉。 「ココヤシの葉で作ろう!」 で紹介した団扇づくりと似た編み方ですが、今回は立体的な帽子を作るために、更に葉を折り返して編んでいきます。団扇の映像はモノクロ映像でしたが、今回はカラー映像。皆さんの印象がどのように変わったか、もしくは想像通りだったのか、非常に気になるところです。 (画像2)E0823 03:02  画像2で男性がかぶっているものが、完成したココヤシの葉の帽子になります。ちなみに、後ろに写っている白い木がココヤシ。地面もサンゴ礁の影響で白くなっているのがお分かりいただけるかと思います。この帽子は、特に海に出て魚などを取るために使われるようですが、ギルバート諸島が赤道近辺にあることもあって、日差しも強そうです。他の映像に映っている人たちも、作業中に汗を噴き出している様子がたびたび見られます。 (画像3)E0833 02:48  こちらは、同じくギルバート諸島のオノトア環礁で撮影された映像ですが、どちらかというと 「むしろ編み」 で紹介したものに近い形で編まれていると思います。画像3は、むしろの端をロープで作った三角形に合わせ、端がほつれないように縫われている様子です。この後、三角形になったむしろの一辺一辺に、骨組みとなる木材を糸で括り付け、海に運ばれていきます。 (画像4)E0833 06:41  先ほど紹介したむしろが、括り付けられた木材を支えとして、船の帆となっている様子がお分かりいただけますか。船の後ろに乗っている男性は、帆が倒れないよう、そして風を受けられるように手元の棒を操作しているようです。きれいな海

樹皮布づくり(サンタクルーズ諸島。セピク川中流域。)

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 こんにちは。今回は、植物の靭皮という部分から作る樹皮布に関する映像について紹介していきたいと思います。使わせていただくECフィルムはE1373「樹皮の採集と樹皮布の染色」とE1400「樹皮布づくり」 です。おなじ樹皮布を扱う映像ですが、海と河、使う植物など、出来上がった樹皮布自体もかなり違うものとなっております。二本ともカラー映像なので、作られている場所や、それを染色している様子を楽しんでいただけたらと思います。 (画像1)E1400 02:16  E1400「樹皮布づくり」は、1967年にサンタクルーズ諸島で撮影された映像です。画像1は、樹皮布の材料となる靭皮を採集している様子。樹木の外皮を刃物でそぎ落とし、縦に切れ目を入れて、やわらかい部分だけを剥がします。やわらかいといっても、樹皮布の材料として使用しても問題ないくらいに丈夫そう。紙や布のように畳んで、海までもっていきます。靭皮を剥がしていく様子は、白く細い中身が残っている長ネギみたいですね。 (画像2)E1400 03:05  画像1で採取した靭皮は、海岸まで持っていき、海の中に沈められます。丸一日、海水に浸した後、こん棒のようなもので何度も叩いて、延ばしていきます。これを乾燥させて完成するのですが、出来上がった樹皮布は日本の和紙のようです。時間や手間はかかりますが、作り方は非常にシンプルで、布としての機能も十分に果たせそう。それにしても、カラーで見ると、海がとてもきれい。海岸の砂も真っ白です。 (画像3)E1373 06:47  場面は変わって、画像3は樹皮布の染色を行っている場面です。金属製の鍋に細く裂いた靭皮を入れ、赤い色が出るアウイの木の葉と共に煮ることで染色を行います。撮影された場所は、パプアニューギニアのセピク川周辺。E1400「樹皮布づくり」の時と同じく、靭皮を水につける工程を踏んでいます。作業は、村の大勢の女性たちによって行われ、作業を分担しているようです。 (画像4)E1373 09:48  煮込んで染色した後、赤色の布として使うものは、日に当てて乾燥させるのですが、一部は更に水中の泥を刷り込んで黒色に染色します。サンタクルーズ諸島で作られる樹皮布とは違

腰みのづくり(ギルバート諸島、ノヌーティ環礁、タビトウェア環礁。)

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 皆様こんにちは。ちょっとずつ涼しくなってきましたね。ではさっそく、ECフィルムの紹介をしていきたいと思います。 今回紹介する映像の舞台は、前回と同じくギルバート諸島。ちなみに、現在の地理で言うとキリバス領になりますが、撮影されたのはキリバス共和国が独立する前の1963年になります。そして、今回映像中で作ってもらうのは、「腰みの」です。 (画像1)E0828 02:18  こちらは、E0828「 ココヤシの葉の腰みのづくり」の一幕です。腰みのづくりでは、前回のように葉の構造をそのまま使うわけではなく、小葉のみを使うので、ココヤシの葉の太い葉脈がそのままキレイに残っています。これも何かに使えたら面白いですよね。まとめて縛ったココヤシの小葉は、更に細く引き裂かれて使われます。それにしても、こういった作業をする中で、自身の歯を使って糸や葉をかみ切る場面をよく見るのですが、慣れているのか、私たちよりずっと器用にやって見せます。コツがあるのかもしれません。 (画像2)E0828 06:48  画像2は、先ほど集めたココヤシの葉を紐に結んでいる様子。紐の部分含めて、腰みのになります。そして、ここで使われている紐すらもココヤシの実の繊維質から作られたもの、恐るべしココヤシ。できた長い紐を足の指にひっかけ、腰に回して結んだあと、画像2のように、葉が紐にぶら下がるように括り付けていきます。二本をひとまとめにして、交互左右に向くように結んでいくのですが、最終的に、紐部分を山折りにするので、皆同じ方向を向くことになります。 (画像3)E0827 05:16  画像3は、ココヤシの葉の代わりにスゲを使用したものになります。集められたスゲの見た目は日本のスーパーに並んでいる細ネギの様。タビトウェア環礁(Tabiteuea)では、水辺付近に生えており、ココヤシの葉と同じように、日光で乾燥させてから、紐に結び付けられていました。E0828「 ココヤシの葉の腰みのづくり 」では、2本で一組として紐に結ばれていましたが、スゲの場合は束をそのまま紐に括り付けます。 (画像4)E0827 06:43  正直なところ、「あ、腰みのってこれのことか!」というのが

ココヤシの葉で作ろう!(ギルバート諸島、ノヌーティ環礁、オノトア環礁。)

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 ブログをご覧の皆さん、こんにちは。前回に引き続き編み物に関する映像を紹介していきたいと思います。今回は、ノヌーティ環礁(Atoll Nonouti)とオノトア環礁(Atoll Onotoa)で撮影されたE820「床むしろ編み」、E815「ココヤシの葉の団扇編み」、E814「ココヤシの葉の団扇編み」です。E815とE814は、日本語タイトルは同じですが、ドイツ語タイトルは若干違います。フィールドは、どちらもギルバート諸島を構成する、環状のサンゴ礁。そして、今回の材料のメインとなるのは、またしてもココヤシの葉です。 (画像1)E0820 01:22  久々のカラー映像です。しばらく白黒の映像を見ていると、急に飛び込んでくる鮮やかな色に対して眩しさのようなものを覚えることを、初めて知りました。画像1は、床むしろの材料となるココヤシの小葉部分を引きはがしている様子です。それにしても、ココヤシの葉自体がかなり大きいですね。この葉一枚丸ごと使って作る編み物も、結構な大きさになります。 (画像2)E0820 03:24  前回のむしろ編みとは違って、隣り合う葉はつながったまま編みこまれていきます。画像2だけでは分かりづらいですが、実はココヤシの葉を引きはがした後、生えていた時点と同じ位置関係になるように並べたものが二枚重なっており、葉の形や特性をそのまま活かして作業する様子はとても新鮮。更に、作業している女性の熟達した編み作業は、かなり見ごたえがあります。ちなみに、利用している姿は撮影されていなかったのですが、鮮やかな緑色からなる完成した床むしろは、半分に切ったピーマンに少し似ていました。 (画像3)E0815 04:19  画像3はE0820「床むしろ編み」と同じように、葉を曲げながら編んで作る団扇です。大きさはかなり小さいですが、編み方やオノトア環礁で撮影されたということ、同じココヤシの葉を使って作るという共通点があります。でも、同じココヤシでも、葉の形や質感がかなり違う印象。きっと、ココヤシの葉先の部分で作っているからなのかもしれません。 (画像4)E0814 04:13  同じ団扇でも、ノヌーティ環礁で作られたものは、葉がまっすぐで、形も四角にちかいですね