こんにちは。今回は、植物の靭皮という部分から作る樹皮布に関する映像について紹介していきたいと思います。使わせていただくECフィルムはE1373「樹皮の採集と樹皮布の染色」とE1400「樹皮布づくり」 です。おなじ樹皮布を扱う映像ですが、海と河、使う植物など、出来上がった樹皮布自体もかなり違うものとなっております。二本ともカラー映像なので、作られている場所や、それを染色している様子を楽しんでいただけたらと思います。
|
(画像1)E1400 02:16 | |
E1400「樹皮布づくり」は、1967年にサンタクルーズ諸島で撮影された映像です。画像1は、樹皮布の材料となる靭皮を採集している様子。樹木の外皮を刃物でそぎ落とし、縦に切れ目を入れて、やわらかい部分だけを剥がします。やわらかいといっても、樹皮布の材料として使用しても問題ないくらいに丈夫そう。紙や布のように畳んで、海までもっていきます。靭皮を剥がしていく様子は、白く細い中身が残っている長ネギみたいですね。
|
(画像2)E1400 03:05 |
画像1で採取した靭皮は、海岸まで持っていき、海の中に沈められます。丸一日、海水に浸した後、こん棒のようなもので何度も叩いて、延ばしていきます。これを乾燥させて完成するのですが、出来上がった樹皮布は日本の和紙のようです。時間や手間はかかりますが、作り方は非常にシンプルで、布としての機能も十分に果たせそう。それにしても、カラーで見ると、海がとてもきれい。海岸の砂も真っ白です。
|
(画像3)E1373 06:47 |
場面は変わって、画像3は樹皮布の染色を行っている場面です。金属製の鍋に細く裂いた靭皮を入れ、赤い色が出るアウイの木の葉と共に煮ることで染色を行います。撮影された場所は、パプアニューギニアのセピク川周辺。E1400「樹皮布づくり」の時と同じく、靭皮を水につける工程を踏んでいます。作業は、村の大勢の女性たちによって行われ、作業を分担しているようです。
|
(画像4)E1373 09:48 |
煮込んで染色した後、赤色の布として使うものは、日に当てて乾燥させるのですが、一部は更に水中の泥を刷り込んで黒色に染色します。サンタクルーズ諸島で作られる樹皮布とは違い、樹皮布一枚で使うのではなく、紐のような出来上がりです。染色することによって色鮮やかになった樹皮布は、装飾やアクセサリーとして使うのでしょうか。
ということで、樹皮布特集でした。樹木の靭皮を使って作製する樹皮布、いかがだったでしょうか。布というと織物や編み物をイメージしますが、植物からまるごと一枚の布が作れるというのは驚きです。織物が、機械などを使った非常に細かく、時間がかかる作業であるのに対して、樹皮布は人一人で原材料から完成まで至れるというのも、一つの長所なのかもしれません。 次回からは、オセアニア地域の海での生活について紹介したいと思います。舞台はギルバート諸島に戻り、漁労に関するものづくりに関する映像について記述します。近日中に投稿するつもりなので、引き続きご覧ください。では。
コメント
コメントを投稿